「うわー……陸斗なにその顔」
「い、いや……だって……」
「あたし単独でこういう冗談やってもさほど動揺しないのに、さっちんが絡むとすごい反応ね」
「そ、そりゃ、東雲は……この手の冗談に荷担しないタイプだと思ってたから、不意を突かれたというか……なんというか……」
「私は特別冗談に荷担したつもりはなかったのだけれど……誤解を招いたのであれば、三谷先輩に謝らねばなりませんね」
「ま、さっちんは謝罪より、陸斗を祝福してあげたらいいんじゃない?」
「祝福?」
「卒業したのはあたしだけじゃないのよ?」
「あ……そうでした」
あたしから離れたさっちんは、陸斗の正面に立ち、二代目二中最強美少女(襲名拒否中)の微笑みをたたえる。
「三谷先輩、卒業おめでとうございます」
「……ありがとう、東雲」
「奉莉ちゃんの無茶に付き合い続けた三年間、本当にお疲れ様でした」
「ちょっとさっちん、あたしの無茶ってどういうこと?」
「奉莉ちゃんは、三谷先輩に無茶を強いた自覚がないの?」
「な、ないってことはないけど、三年間ずーっとみたいな言い方はちょっとオーバーなんじゃない?」
「オーバーかしら? 三谷先輩はどう思います?」
「そうだね……いろいろあったけど、今は楽しい思い出だからどっちでもいいよ、あはは」
屈託のない笑みをこぼした陸斗。
あたしの数々の無茶振りを、楽しんでいたと言うように笑ってくれた。
そう……陸斗はこういう奴。