じじさまが自分の合否報告を、今か今かと待っているのに……このままでは……
「待って待って!!」
困り果てたところで、同い年くらいの女子が人混みを縫い、自分の前にやってきた。
「その子、ケンカなんかしてませんでしたよ!」
「そうです、男三人組に一方的に絡まれてました。どう見てもこの人は被害者だと思います」
さらにもうひとり、やはり同い年くらいの男子が出てきて、自分の無実を駅員に訴えてくれた。
「いやしかし……木刀を振り回してたわけで……」
「振り回したりなんかしてませんでしたよ、この人。木刀は守るのに使ってただけで」
「そうそう、周りの皆さんもこの子が一切手を出してないの、見てましたよね?」
女子の呼びかけに、大勢の野次馬が頷いて見せた。
「ほら、目撃者の賛同もこんなにたくさんありますよ? 駅員さん」
「う、うーん……」
若干態度が変わった駅員を見て、女子はポンと叩くようにこちらの両肩に手を乗せた。
「ね、あなたも騒ぎを起こしたって点では、悪いと思ってるんだよね?」
「無論、申し訳ないと感じている」
「だったら、そこは駅員さんに謝って、ほら」
こちらの肩を押し駅員から少し距離を取らせた後、その女子は自分から離れた。
駅員たちと対峙する格好になったところで、素直に頭を下げる。
「……騒ぎを起こして、申し訳ありませんでした」