「え、ええと……?」
ど、どうしよ、へんな声出しちゃったから、三谷くんが驚いてる。
えーと……その……えーと……
「ご、ごめんなさい……ぅ……」
あ、謝ってどうするの私?
しかも涙をポロポロこぼして!
ほら、三谷くん困ってるし、隣の女の子も驚いてるし……
どうしよう、どうしよう……
「…………」
ダメ、また言葉が出なくなって……代わりに出てくるのは涙で……
なんだか、ホントに泣けてきちゃった……
「っ……うっ……くっ……」
どうして私、こんななの?
変わるんじゃなかったの?
でも、やっぱり何も言えなくなって、情けなくて……
『まもなく、福留、福留です、出口は右側です……』
電車のアナウンスと一緒に向かいのふたりが動き出した。
三谷くん、ここで降りちゃうんだ……
最後に声を掛けたい。
ひと言でいいから……
『開くドアにご注意ください』
結局何も言えないまま、三谷くんが降りる駅に着いてしまった。
女の子に続いて三谷くんも立ち上がる。
私ができるのは、見送ることだけ……
「と、そうだ」
「……ぇ?」
座席から離れかけた三谷くんは、くるりと振り返り――